大阪労働学校アソシエ
■大阪労働学校・アソシエ 後期授業の紹介 ■
大阪労働学校・アソシエ 学長 斉藤日出治
労働する者、生活する者が暮らしの成り立たない状況に追いやられ、企業が肥え太るこの社会の現状を見据え、労働者、生活者が豊かになる社会を創造することをめざして本労働学校は誕生しました。3年目の後期で行われている講座は、この新しい社会の創造に向けて、以下のような課題に取り組んでいます。
1 読み、書き、話す能力を磨く
一人ひとりが自律して社会の創造を担う主体となっていくためには、新聞、雑誌、書物、インターネットを通してさまざまな情報を受け取り、その情報を自分なりに処理して他者に発信する能力を磨かなければなりません。他者とコミュニケートしながらその能力をはぐくむ講座として、ホリィ・セン講師「読む・書く・聴く」講座(水曜日18時30分~20時)、および森宣男「〈きく・よむ・うたう〉戦後沖縄の思想と運動」 (火曜日18時30分~20時)があります。ホリィ・セン講師は、家族、福祉、ジェンダー、労働などの身近なテーマをめぐって、演劇やディベートを通して他者とコミュニケートする力を育てる訓練をします。森宣男講師は新聞の社説を早読みする手法を伝授して、文章を理解し組み立てる力を育てる訓練をします。
2 市場と国家の深刻な危機について学び、その深層に民衆の息吹と連帯の芽を見いだす
資本主義が終わるのではないか、という危機意識の根源には市場と国家による社会の組織化が人々の暮らしを存続不可能な状態に追いやっているという状況があります。その危機の根源を探り、同時にその危機から脱出する道筋を探ります。
森宣男講師は戦後の沖縄の民衆の闘いを民衆が口ずさんできた民謡のなかに探ります。
酒井隆史「キャピタリズム・ソーシャリズム・コミュニズム」(金曜日18時30分~20時)は、市場と国家が支配する現下にひとびとのアソシエーションの根が潜んでいることを照らし出します。
斉藤日出治「資本論で現代資本主義の危機とその脱出路を読む」(火曜日14時30分~16時)は、市場と国家が肥大化する現代世界が人々の暮らしを破壊しそれを不可能にしつつある危機的状況を描き出すと同時に、市場と国家の外部にあふれ出る人々の共同の営みのうちに新しい社会の創造の光明を読み取ります。
水野直樹「日本の朝鮮植民地支配を考える」(木曜日18時30分~20時)は、日本による朝鮮の植民地支配が朝鮮の文化と暮らしと生命を破壊した歴史をふりかえると同時に、植民地主義をのりこえる社会の創造の道を考えます。
3 連帯と協同による社会の創造について学ぶ
木下武男「労働運動理論」(月曜日18時30分~20時、隔週)は、西欧の労働運動の歴史が、中世の職人協同組合の友愛の精神にまでさかのぼることを明らかにし、関西地区生コン支部の労働運動、協同組合運動がその精神と共鳴していることを語ります。
NPO法人あったかサポート講師陣「労働法関連講座」(月曜日18時30分~20時、隔週)は、労働争議の事例と労働関連法の学習によって労働者が連帯して闘う力を身につけます。
津田直則「社会的連帯経済」(火曜日16時30分~18時)は、世界各地で昂揚する協同組合運動とそのネットワーク形成の動きのなかに、資本主義を超える社会的連帯経済という新しい文明の誕生を読み取ろうとします。
宮崎夏美「食育講座」(火曜日11時30分~14時)は、食べるという日常の営みを通してひとがつながることの大切さを学びます。食生活を市場にゆだねるのではなく、自分たちで自己管理しようとするさまざまな運動との交流も体験します。
読者のみなさんも、息苦しい世界から脱出して新しい世界を創造する労働学校の営みに参加しませんか。
【 くさり12月号より 】